日々の思いを短歌に
あしかび短歌会は、初心者からベテランまで十数人で、毎月新作の発表と勉強を行なっています。
メンバーはシニアネット仙台の会員で、わいわい楽しい歌会です。
気楽に参加してみませんか。見学も自由です。
【場 所】
シニアネット仙台「一番町サロン」
【日 時】
毎月 第三土曜日 13:30〜15:30
【会 費】
毎月 500円(会員のみ)
あしかび(葦牙)とは、葦の若芽です。
水の辺の葦牙のごと萌えあがる歌詠み続け齢重ねん 章
令和六年 十一月の歌会より
旧友と一献かわす秋の宵「またね」と別れ最後になりし かつゆき
次々と新たな友がまた出来るシニアネットは明日への励み イタヤンマン
雨上がり畑の溝に花筏蝶も飛び交う名残コスモス 水すまし
解散の大義は何ぞ万歳と叫ぶ議員の心中如何に いつつばし
陸奥守は多忙だったか家持も実方朝臣も和歌を残さず 笹谷 逸朗
彩雲は吉兆なりと昔より今日は変わらず明日はどうかな 東山
街並みの銀杏の木々も様変わり美しくもあり侘しくもある 初ちゃん
昼下がり優しく語る読み聞かせ静かに流れる母と娘の時 千賀のうら
さっきまで頭にあったあの言葉遊びにでたのか姿がみえぬ 小町
長生きもゆるくないねと言いながら歌を唄って過ごした母よ 晴
葉ボタンの苗を両手でそっと植え「どうだ‼」と笑顔児童館の子ら えいちゃん
薄闇に漏る月影が切なくて君想うとき雲よ隠すな 風
身長はもう伸びないが足爪は伸び伸び伸びて屈めやっと切る ヒカル
令和六年 十月の歌会より
痩せた穂の芒と伸びぬ泡立草気象異変に野草たじろぎ いつつばし
秋の陽に色とりどりのコスモスは風に揺られて冬へと向かう 水すまし
老ーい老いと追いかけて来る振り向かず前だけ向いて逃げ切ってやる 初ちゃん
生きている価値も無いとか言わないで水止め忘れたぐらいで母よ 千賀のうら
熱燗をそーっと差し出す友がいてもう一杯と優しい笑顔 かつゆき
秋晴れの空にススキの揺れる野に悪意にみちて群れるブタクサ 風来坊
十月の陽は柔かし芝刈りの館前遺跡に淡き香りが 笹谷 逸朗
石ころに負けじと登る山道に八十路の足と暮れゆく秋 東山
ありがたい無事に目覚めた生かされた今日も仲間と楽しく過ごそ イタヤンマン
五橋清水小路に土樋と時空を超えて瀬音ききたし 晴
しらじらと明けゆくなかで露天風呂新涼の風髪をなでゆく 小町
晴れた朝玄関でカナヘビ睨み居り今日は幸運宝くじ買うか えいちゃん
野原にもスズメが見えず少子化でそういう我も絶滅危惧種 ヒカル
令和六年 九月の歌会より
畑仕事終えて一杯缶ビール大の里ついに一敗喫す 笹谷 逸朗
久に逢う「奥さん元気?」「天国さー」愉快な詠は妻への賛歌 まさこ
朝晩に故人を偲い手をあわす感謝しながらお詫びと供養 イタヤンマン
鬼灯を鳴らした頃を思い出し一緒に吹いた友は今なし 山羊
麦わらは斜が似合うと勧められ買ってしまった夏の思い出 かつゆき
暑き夜に背筋も凍り震えくる今は懐かし四谷怪談 いつつばし
満月の月を見乍ら何思う今迄なのか此れからなのか 初ちゃん
山百合の匂いにひかれ公園でヒーフーと数え五つ見つけた 東山
青空の下に広がる朝明けは雲から絵の具を流したようで 千賀のうら
寒冷の次は暑さに強い米農家を憂いて新米を食む 小町
夜もすがら歌を偲んで十五夜に団子を飾り酒飲み明かす ヒカル
百までも詠んでようねと約束しハンチングの人ホームに消える 晴
ビル風に頬なぜられて街並みをノルディックで歩けた一年前は 水すまし
初めてのボッチャ体験侮れぬ八十過ぎのレディーに完敗 えいちゃん
令和六年 八月の歌会より
その中に末期の声も蝉しぐれやっと這い出た地表の夏に 東山
青春は華やかな花火歳振れば我が身の花火直ぐしぼみ消え ヒカル
鬼百合の束を抱いて墓参り線香代わりに雄蕊に託す 山羊
廃屋は更地となって草原に久に通ればひまわり畑 まさこ
軒先に吊るした風鈴酷暑にも風に揺られて涼しき音色 水すまし
ゆっくりと繰り返す日々過ぎ見れば昨日の如く思えてならぬ 初ちゃん
オリンピックはしゃぐ勝者泣く敗者咲かずに枯れたひまわりの花 かつゆき
厨房で茶碗洗いを始めるやいつもの如く尿意もよおす 笹谷 逸朗
風鈴も鳴らさず澱む午後の風も少し吹いて攫えよ汗を いつつばし
酷熱に蟻は一族引き連れて我が家に避難あわあわ私 小町
同窓会半世紀ぶりの再開に見目変わりしもはじける笑顔 千賀のうら
傘寿までノラリクラリと生きて来たテキトー男米寿を目指せ イタヤンマン
深夜便うつらうつらと聴いている「教育が大事」と戦場カメラマン 晴
令和六年 七月の歌会より
猛暑来る紫陽花咲いて梅雨を待つ七月七日八十の夏 かつゆき
残雪に脚を滑らし苦笑なり照れ草写す石楠花の花 山羊
想い出す母の面影父の事忘れていないだからごめんね 初ちゃん
「青い山脈」共に見た娘はいずこにか孫に囲まれ楽しからずや ヒカル
見栄を張り優先席が空席も吊革握る八十路控えて いつつばし
スーパーの折り込み広告肉多く季節の野菜品薄高値 水すまし
返す当て無き借金を増やしつつ軍備増強に勤しむ国家 笹谷 逸朗
古池に蕾もたげる羊草波も穏やかそよ吹く風に 東山
この夏は何か忘れ物したようなそうだ梅漬けしていなかった 小町
帰り道夜空に光る星ひとつ母が見守るそんな気がした イタヤンマン
いらないと断る息子に味見させ美味いと言わす採りたて枝豆 えいちゃん
海の中つつじの山に豪快に回る回るよ風力発電 晴
令和六年 六月の歌会より
庭先にすくすく育つ謎の花鳥が運びし植物の種か ヒカル
スープバー持って来る間にロボットが何も言わずに突っ立っている 晴
伊達祭雀囃子に踊らされ久しい友と分町踊り 山羊
開放されて交わり求めシニアネット来し行く末個人それぞれ 勝田 博司
カッカッカーデデポッポピーピーピュイ電柱天辺野鳥のベンチ まさき
宵越しの花や一輪夏椿涙の如く光る朝露 いつつばし
木漏れ日の揺らぎし午後の遊歩道ベレー鮮やか初夏を写生す えいちゃん
碁盤斬り役者に惚れて午後の部も二本立てあった昭和の時代 かつゆき
晩酌で子孫と祝う瑞午の日思い出話に弾みし笑顔 水すまし
植物は菌との共生できるのにアラブとユダヤ何故に争う 笹谷 逸朗
夫の手術終えるを待つ身長く長くあちらこちらと席を変え変え 小町
昼下がりテレビ見ながら歌い出す老いた大好きな歌 イタヤンマン
潔く死ぬも良いが生きてやれ一生一度の人生だもの 初ちゃん
令和六年 五月の歌会より
七重八重白桃色と咲き誇るこれが天下の塩竃桜 かつゆき
往年の戦前戦後激動期切り抜け過ぎし百歳目指す 水すまし
草むらを麦畑を分け疾走す初夏の風少年がいて ヒカル
最上川の天空に橋かけるよう飛行機雲は真っ直ぐ伸びる 小町
声弾む午後のホテルのレストラン熟女いきいき殿方いずこ いつつばし
通学路砂沼辺に咲く桜花少年少女は八十路の春を まさこ
アメリカの返礼品のハナミズキ黄金の里に光りあつめて 晴
そよぐ風翻る裾若人の甘い香りが漂うような 初ちゃん
沢山の友が出来たよ有り難う母の性格引き継いだから イタヤンマン
初登山片栗花に迎えられ沢沿いに澄む新雪を踏む 山羊
令和六年 四月の歌会より
春風にそよげるみつば摘む朝アロマセラピーしている気分 笹谷 逸朗
砂浜を夢見し母と散歩して拾いし貝は心の宝 水すまし
温暖化それに加えて戦争もやがて地球は荒れ野の星か イタヤンマン
水仙や梅に菫と山茶花も木蓮にさえも勝るる桜かな 山羊
雑草は寂しがり屋か次々に仲間を増やし庭を占領 小町
日に三度食後の薬増えたれど孫のラインは心に即効 いつつばし
大相撲百十年の時を経て土俵が揺れてゴジラ目覚める かつゆき
ベガルタのやっとのシュートに総立ちす春の夜空に歓声抜ける 晴
死んだふりしていた紅葉が甦り大空に向かい背伸びしている 初ちゃん
春うらら心うき何処へ行こうか脚はやっぱり君の別荘 まさこ
パサパサと落ちては溶ける春の雪植えたての芋冷たかろうに えいちゃん
五十肩首肩が病み彩ちゃんの程よいもみに気力が湧く ヒカル
令和六年 三月の歌会より
白梅の香り運びし吹く東風に願いの絵馬がカタカタと鳴る えいちゃん
生の牡蠣ボイルした牡蠣併せ食い生ビールあれば何も言わない 笹谷 逸朗
買い物も畑も釣りも相棒はコスパ抜群世界の軽トラ いつつばし
使い切る命も金も何時迄か分かっていれば苦労はしない 初ちゃん
下半身ポールに頼り歩く身も叶えたき夢まだ多くあり 水すまし
新雪の帽子冠った山茶花の色あでやかで明日を願う 山羊
すれ違う可愛いチビに手を振ればビックリ嬉し投げキスされて イタヤンマン
農作の人を思って米袋の底をはたいて残さずついた 小町
真っ青な空を見上げて風食す梅と桜の香りをあてに かつゆき
ワイワイと墓参した日もあったっけ今年一人で草引きをする 晴
チャイム鳴る袴姿で微笑むは卒業式の隣家の少女 まさこ
三月は明るい陽射し柔らかし輝く旅へ大きなl呼吸 ヒカル
令和六年 二月の歌会より
寒空にプカプカプカと白い雲南に流れ春来る予感 かつゆき
娘は母にレシピ聞かずにスマホ見るチンで完結簡単料理 晴
老木の頼りなき幹に我写し弐参の蕾に新春の誓い 山羊
東京は八センチの雪通学に滑って転んで孫嬉しがり ヒカル
古来から暮らし支えたにぎり飯人気高まり海外進出 水すまし
帰り道夜空に光る星ひとつ母が見守るそんな気がした イタヤンマン
朝日には心も体も照らすのか強い力が生まれるものだ 初ちゃん
我が脳に入れた記憶は八十年出口狭まり出てこぬ名前 いつつばし
そよ風に枯草の下つくしんぼふたつ並んで春の喜び 縁寿
仏壇に供えし南天あたたかく育てし写真の母が喜ぶ えいちゃん
シニアネットで食べる昼飯なぜ進むお喋りも又美味しいおかず 笹谷 逸朗
「紅白」を家族で見ていたあの頃は私の大取「ひばりちゃん」だけ 小町
令和六年 一月の歌会より
真冬日に味わう温もり鍋料理体の芯まで届く幸せ 水すまし
反撃の術なき民に降り注ぐ爆弾の嵐黙視するのか 笹谷 逸朗
露天風呂つかれば静かに朝ぼらけ墨絵のような雪の最上川 小町
冬晴れの屋根に上れば銀世界見とれて暫し雪掻き忘れ いつつばし
古都京都つなぎつないで走りぬく全国一位宮城の乙女 かつゆき
もし針を元に戻せばあんなこと避けられたのか祈るともしび ヒカル
リビングに薄紅色のシクラメン友にもらったときめきの色 イタヤンマン
末孫の最後の七五三願うは三三九度まで寿命のばして 山羊
広々と刈田のひとすみ水満ちて芹田は青く春を寿ぐ まさこ
正月に地震で荒れる日本海祝いの餅も悲しみ沈む 縁寿
この春は旅立つ君の惜しきかな次咲く処に思い巡らし えいちゃん